当塾では、
中高年サラリーマンに目覚めて頂き
「最大限の自分自身を生きる人」 に
近づくヒント・情報を
様々な切り口で提供しております。
本日の学習テーマは
大富豪シリーズをちょっとお休みします。
今回は
「働き方改革関連法案」で
サラリーマンが幸せになれるか?
を考察し、さらには
「政府が副業を推進する真の理由」
を明らかにしたいと思います。
【1.働き方改革関連法はサラリーマンを幸せにするか?】
電通で起きた過労自殺事件が
契機になって本格化した
政府の働き方改革の取組により
まもなく「働き方改革関連法案」
が成立するでしょう。
2018年5月25日、衆院の
厚生労働委員会で可決したので
まもなく衆参両院でも法案が
可決されるはずです。
(5月末に衆議院を、6月29日に
参議院を可決・通過しましたね。)
2019年4月1日より、いよいよ
新しい労働法が施行されますね。
本日はこの法案が
中高年サラリーマンに幸せを
もたらすか?という問いにつき、
当塾なりに考察致します。
当塾の見解を先に言いましょう。
答えは「否」です。
ちなみに、
野党が法案反対を唱えているからとか、
某マスコミの意見に洗脳されて法案の
内容に反対しているのではありません。
私は25年間サラリーマンをやってきて、
自らの体験に基づいて考えた結果、
今回の法案では
特に中高年サラリーマンは
幸せになれないと分析した次第です。
では、どうすればよいか?と言えば
本当の幸せを
中高年サラリーマンが実現するには
やはり、当塾が提唱する
「最大限に自分自身を生きる人」
に早くなろう、というのが結論です。
働き方改革関連法案が、
サラリーマンに幸せを
もたらさない理由を以下、解説します。
少し長くなりますが、おつきあいください。
この法案にはいくつも柱がありますが、
私からすると大きくまとめて3つです。
「同一労働、同一賃金」
「裁量労働制」
「残業時間の規制強化」です。
今回は見送られた
「裁量労働制の適用対象の拡大」が
ありますが、私からすると
「高度プロフェッショナル制度」
が入ったことで、労働市場に
実質的に裁量労働制が導入される
ことを意味していると思います。
【2.サラリーマン受難の歴史】
では、ここに至るまでの、
日本のサラリーマンの
労働実態・処遇等の歴史を
簡単に振り返りましょう。
すべてを破壊された
敗戦の焼け野原のどん底で
生き抜き、家族を食べさせ、
また国を復興するため、
1950〜1960年代にかけて
サラリーマンたちは
長時間労働を厭わずに
ガムシャラに働きました。
結果、奇跡の復興と言われた
高度経済成長を実現します。
オイルショックで
高度経済成長が止まるまでの
敗戦から30年足らずで
世界第2位の経済大国に
日本は駆け上がりました。
高度経済成長期の時代、
長時間労働が当たり前でした。
苦しい大変な時代でしたが、
頑張っていれば
給料は毎年のように上がり、
いつかはマイカーを持て、
次はマイホームを買うなど
どのサラリーマンも
夢や希望が持てました。
(それが、今の時代とは
大きく違う点です。)
多くのサラリーマンに
昇進のチャンスもあり、
「年功序列型」の賃金も
保証され安定していました。
その時代には
「モーレツ社員」という
言葉がありました。
これは、家族との団らんや
過ごす時間を犠牲にして
頑張ることが男の勲章と
されていたのです。
さらに、サラリーマンは生涯
入社した会社に仕え、そこで
滅私奉公を何十年していく
ことが美徳とされていました。
世にいう「終身雇用制」です。
このあたりについては
当塾の下記リンクをご参照ください。
詳しく解説しております。
https://miyanari-jun.jp/2016/12/29/proud-for-long-time-working/
ところが1973年、
オイルショック到来で
日本経済は崖から
突き落とされます。
しかしながら、
国を挙げて省エネをし、
サラリーマンらが
必死の努力で技術革新等に
取り組んだ結果、
先進国の中で真っ先に
オイルショック不況を克服し、
日本経済は復活します。
メイドインジャパン製品は
安価・高品質であったため
輸出すると海外で必ず売れ、
その分、他国の競合産業を
敗者に追い込みました。
このことで海外から、
特に失業問題を抱えた
ライバル先進国から、
日本の労働者がまともに
残業代も払われないまま、
長時間・低賃金働くことが
原因だとバッシングされます。
国際的な批判を受けて
日本政府は1987年に
労働基準法を変えて
週休2日制を導入し、
労働時間を短縮する
方向に舵を切りました。
その後、1991年にバブルが崩壊。
20年以上に及ぶ長期の
デフレ不況の時代に入りました。
長期の不況になったために
残業代を払いたくない企業、
いや、払えない企業からは
残業することを悪とみなし、
「早く帰れ、但し成果は出せ!」
と、従業員サラリーマンに
プレッシャーをかける
ようになりました。
それだけではありません。
不況の時代では
どの会社も仕事が減った分、
あちこちでリストラが進み、
正規社員の絶対数が減ります。
その影響で、
高度経済成長期に存在した
終身雇用や、年功序列型の
右肩上がりの賃金といった
サラリーマンの生活を
生涯保証していたシステムが
徐々に崩壊していきます。
また、90年代になると
日本国内の様々な規制が
自由競争と貿易を阻害し、
米国の貿易赤字を
増やしているとして、
「規制緩和と自由化」をしろと
米国から強く迫られました。
これが追い打ちをかけます。
「規制緩和と自由化」で
非正規の派遣社員が
労働市場に誕生しました。
彼らが、大量採用されると、
その影響で正規雇用社員の
リストラがさらに進み、
新規採用数も絞り込まれました。
(就職氷河期の到来です。)
結果、今や非正規雇用は
労働者の全体の40%を占めるに至ります。
正規雇用であろうと、
非正規の派遣社員であろうと
サラリーマンには受難の時代、
それが「失われた25年」です。
失われた25年間では
高度経済成長期に
持つことが可能だった
サラリーマンの夢や希望は
全て奪われてしまいました。
文字通り「失われた」のです。
そうした夢や希望に代わって
漠然とした「不安」や、
特にリストラへの「怖れ」を
サラリーマンらは常に
抱くようになりました。
この「怖れ」が、
会社にしがみつこうとする
サラリーマンのネガティブな
観念を強化しているため、
多くの従業員の魂を
蝕んでいるのです。
草食系の男子が多くなり、
日本全体で元気がなくなったのも、
こうした暗い時代背景が
強く影響していると私は思います。
確かに、
経済は大きく発展して
物質的・金銭的・技術的にも
日本は豊かになりました。
しかし、大きな目で見ると
勤勉なサラリーマンには
受難の時代がとても
長く続いたと言えましょう。
【3.「同一労働、同一賃金」が与える影響】
失われた25年が過ぎ、
中高年サラリーマンのみならず、
すべてのサラリーマンにとって
大きな影響がでる改革が
この法案が通ると始まります。
働き方改革法案に含まれる
3つの柱のうちの1つ、
「同一労働、同一賃金」がそれです。
(2016年12月21日付けの朝刊から)
このインパクトと影響は
非常に大きいと思います。
低賃金に抑えられ、一方で
安定が保証されていなかった
非正規の労働者らにとっては
賃金がアップし処遇がよくなる
メリットが確かにあります。
働き方改革関連法案は、
全労働者の40%を占める層に
とっては福音と思えるでしょう。
一部には、非正規社員を
正規雇用に転換して
再雇用する動きも
人手不足とともに
マスコミで報道されています。
(ただし、一部で逆行する動きも
あるようです。非正規労働をの
期間が連続して5年目が過ぎる
と無期雇用に転換できるのですが
そうなる直前に、急に雇用契約を
終了してクビにするという企業も
あるので注意が必要です。)
しかし、影響はこれだけに留まりません。
私は少なくとも、
福音とされる影響以外に
三つの影響がでると見ます。
一つ目は、企業にとっては
人件費の増大に繋がります。
結果、多くの企業で
人事制度や給与体系の
抜本的な見直しが
必ず始まるでしょう。
ただし、多くの企業は
収益や内部留保に
なるべく手を付けずに
現在の人件費のファンドの中で
やり繰りしようとするでしょう。
(内部留保にまで手をつけ、
さらに利益を削ってまでして
人件費を増やそうという、
従業員に優しい企業は
かなり体力ある一部の企業に
留まるだろうと
私は予想しております。)
実は、それが
「ネック」となっていくのです。
【4.裁量労働制の広がりと、基本給の破壊】
働き方改革法案が及ぼす影響の
私なりの予測、二つ目です。
国際比較して
低いとされている
日本の労働生産性を
上げることを狙いとして
「高度プロフェッショナル制度」
が導入されます。
このことよって、
まずは年収1075万円以上の
サラリーマンを対象に
事実上の「裁量労働制」の
適用範囲が広がると予想します。
先ほど述べた
企業側で起きる給与体系
の見直しと連動して
広がることになるでしょう。
事実上の「裁量労働制」が広まると、
今までであれば
会社での在籍年数を考慮した
給与体系だったものや、
月の勤務時間・残業時間に
対して払われていた給料が
(特に非正規労働者が多く
おられる職場や会社では)
多分、ガラリと変わるでしょう。
どう変わるか?
それは、サラリーマンが
1年間働いた「成果」に対価を払う
賃金体系に多くの企業が移行すると
私は予想します。
「うちは既に能力や成果重視、
ノルマ達成重視型の賃金体系
になっているよ。」という
声や、そんな会社も
サービス産業を中心に多いはず。
私の予想に「何を今更」と
思う人もおられるでしょう。
しかし、そうした会社でも
給与体系をよ-く見ると
給料の「基本給部分」は
まだ年功序列型賃金時代の
名残りがあると思います。
つまり、在籍している年数や
そのサラリーマンに与えられた
職務内容(営業職か、技術職か、
事務職か、専門職かなど)に
連動して「基本給」が
定められている場合がそれです。
多くの会社では基本給は、
在籍年数にスライドして、額が
高くなるよう設定されていることが
多いと思いますがいかがでしょう?
そうした会社では、
個人の成果に連動しているのは
給料の「職能給」や「付加給部分」に
留まっているか、または
会社業績と連動してボーナスが
変動している賃金体系にして
あることが多いと思います。
つまり、能力や成果重視の
賃金体系が導入されている
という会社であっても、
まだ終身雇用があった頃の
年功序列賃金のよい部分を
給与体系に残している会社も
日本には多く存在しています。
あまりにも
ドラスティックな変化に
社員を直面させないための
企業が考えた知恵なのです。
しかしながら、
今回の法案が通ると
ドラスティックな変化が起こります。
大きな変動に直面させず、
安全弁としていた
年功序列的な「基本給」
といった考え方や仕組みが
いよいよ破壊されてしまうと
予想できるからです。
【5.「同じ給料を払え」と訴えられる】
仮に、即戦力となる優秀な
非正規労働者(中途採用)が
会社に入り、その人が
入社一年目からすごい成果を
だした、としましょう。
その成果が、例えば
在籍している入社15年目の
ベテラン正規社員と
もしも同じであれば、
会社はその非正規労働者に、
ベテランの正社員と同じ
給料とボーナスを
払わねばならないのです。
もしも払わねば、
仮に法的な場に
その非正規労働者が
「入社15年目のベテランと
同じ成果をだしたから、
それと同じだけ払え」と
会社に対し訴訟提起した場合、
「同一労働、同一賃金」
の原則が法律で決まったため
その会社は裁判で負けてしまう
ことになるからです。
それが法制化のすごいところです。
働き方改革関連法案が、参議院を
通過する直前の2018年6月1日、
最高裁は産業界にインパクトある
判断を示しました。
非正規の契約社員への各種手当てが
不支給だった「ハマキョウレックス
(浜松市)」の訴訟で、正規社員に
だけ支給されていた6種類の手当の内、
「住宅手当」を除く、5つの手当に
ついて、非正規社員にも払うべき、
との判断を下しました。
5つの手当とは、具体的には
・「通勤手当」
・皆勤賞に相当する「精勤手当」
・「給食手当」
・「無事故手当」
・特殊業務に従事した際の「作業手当」
です。
住宅手当は、正規社員には転勤による
ハードシップがあるが、非正規社員には
それがないということで、この手当は
非正規社員に払われなくともよいという
判断が下されたのです。
そうなると、従来の
勤続年数や職務内容
に応じた給与システムを
採用している企業や、
正規労働者と非正規労働者に
給料に差をつけている会社は、
その給与体系を
取っ払う必要がでてきます。
今回の法案成立で
古い給与体系をリセットする
必要に迫られるのです。
この法律が本格運用されると、
終身雇用がまだあった時代から
古きよき日本的なシステムや
ルールを温存していた企業は、
それらを放棄して
新たな給与体系やルールの
構築を迫られると予想します。
(まず最初は年収1075万円以上の
高度な専門職から始まりますが
専門職種の定義部分が
この法案ではグレーゆえ徐々に
色んな職種に広がるでしょう。)
最終的には、多くの会社で
プロの野球選手やサッカー選手
に採用されている「年俸制」に
近いある意味ドラスティックな
給与体系になると予想します。
「1075万円を超える高収入の人は
うちの会社や周囲には少ないから、
裁量労働制はそんなに広がりは
見せないのでは?」という
意見や声もありましょう。
ですが、私は
この1075万円以上のバーも
5年ぐらいの間に
下げられるだろうと見ております。
【6.外国人労働者の受入れが裁量労働制を浸透させる】
具体的には、外国人労働者を
受け入れる時にそうなるでしょう。
理由は以下の通りです。
日本政府は2025年ごろまでに
人手不足に悩む建設・農業・介護
などの5分野で単純労働の外国人を
50万人超受け入れる計画を検討中と、
2018年5月29日に明らかにしました。
単純労働の外国人を要件を
思い切って緩和して、
大量に受け入れるのです。
であれば、高度の技能を有した
プロフェッショナルの外国人にも、
受入条件を今より緩和するでしょう。
単純労働受け入れに対応・連動して
きっとそうなるはずです。
そうなると、
非正規労働者(日本人)のみならず、
新たに雇い入れた
(高度な技能を持つホワイトカラー系の)
外国人労働者に対しても
同一労働、同一賃金を
適用することになります。
この時に「裁量労働制」を併用して
日本の労働市場を流動的にし、
雇い入れやすくしようとする
ことが容易に想像できるからです。
海外では終身雇用は少なく
転職する人が多いと聞きます。
外国人には
こうした裁量労働とセットで
同一労働、同一賃金での
雇用がわかりやすいはずです。
その時点では
現在の年収1075万円のバーが
多分大きく下げられ、
外国人労働者を日本政府は
採用しやすくするでしょう。
こうして裁量労働制が
一気に広がって行くことでしょう。
私のこの予想を裏付けるかのように
2018年6月14日の
朝日新聞の朝刊が
高度プロフェッショナル制度の
対象となる職種が広がることへの
懸念を示した記事が掲載しました。
具体的な対象業務は「省令」で
定めることから、一旦導入されると
国会審議を経ずに変えられる、と
あります。
さらには「高プロは、適用者の
収入も『給与の平均額の3倍を
相当程度上回る水準』と法案で
定めて年収1075万円以上が
想定されているが、将来的に
法改正で緩められない保証は
ない。」とも記載してます。
【7.安定した収入は、得にくくなる】
話を元に戻しますね。
「年俸制」に近いとはどういうことか?
「本人の裁量で一年間頑張って
成果を出しなさい。
(何時間働いていくら、ではなく)
結果だけを見て報酬を査定する。」
賃金体系になるということです。
これが徐々に広まると予想します。
裁量労働制が広まると、
企業側と、そのサラリーマンが
一年間の成果を確認しあい、
翌年の年俸を決める厳しい交渉が
毎年、行なわれるかもしれません。
プロ野球選手らが、
「契約更改交渉」を
秋から冬にかけて
報道されていますね。
個々の来年度の年俸を決める交渉
では、金額のアップダウンに関し
悲喜こもごものドラマがあります。
まさしくあのイメージ です。
中高年のサラリーマンの皆さん、
これと同じ状況があなたにも
起きるかもしれないのです。
(「既にそうなっているよ。」
という方もおられましょうが、
そうした流れが、さらに多くの
サラリーマンに適用されると
ご理解ください。)
子供の教育費や
マイホームのローンなどの
多額の出費があるのに
1年間の成果が今一つだと
ドラスティックに
「対前年比で30%ダウン」などと
会社から提示される・・・
かもしれないのです。
逆に、素晴らしい成果を出すと
上がる時は一気に
年収が上がるかも知れません。
その魅力もこの仕組みにはあります。
ただし、
アップダウンは激しくなります。
こんな不安定な未来が
プロ野球選手でもない
あなたに用意され、
まもなくやってくる、
というのが私の予想です。
会社にしがみついて
働いていれば、毎年ほぼ
決まった給料がもらえて
生活は安定するという、
多くのサラリーマンが
長く信じていた神話が
完全に崩壊する時が
いよいよきたのです。
高所得のサラリーマンのみならず
そうでないサラリーマン層にも
近い将来、今後5年ぐらいで
裁量労働と事実上の年俸制が
適用されて行くと思われます。
【8.裁量労働制のメリ・デメ】
働き方改革関連法案によって、
非正規労働者の処遇改善が実現し、
日本の全体の労働生産性が
向上するメリットはあるでしょう。
しかしながら、その代償として
成果だけに偏って注視する
人事考課システムと
裁量労働制を導入した会社には
メリット・デメリットが生じます。
まずメリットは?
裁量労働の一番いいところは
自分で時間を采配し、
集中して仕事をしたい時にやって
休みたい時は休める、と言う点です。
効率よく、成果や結果を出す人には
この制度は使い勝手がいいでしょう。
先ほども少し触れましたが、
結果を出せた社員は
給料も上がってハッピーになる
かもしれません。
頑張っただけの成果が
認められたのですから。
一方でデメリットもあります。
仕事上の種まきや人材育成に
労力を割かねばならなかったため、
一年だけでは時間が足りず、
その年には十分な成果を
出せない社員もいます。
近視眼的な人事考課・勤務査定が
そうした従業員に行われた場合、
その人たちは給料がダウンし、
彼らのモチベーションは下がります。
そのため、多くの社員は
すぐに成果の出るような仕事はやるが、
長期的な視点でじっくりやるべき
仕事はやらないようになるでしょう。
(そう、自己保身に走るのです。)
これが、裁量労働制のデメリットです。
また、中途採用された
即戦力かつ、優秀な人が
すぐに結果を出した場合は
その方は、ベテラン社員並みに
一年目から高給をゲットします。
しかしながら、古くから長く
その会社に勤めて貢献している
ベテラン社員からみると、
後からきて、急に成果をだした
仲間に対し祝福する気持ちには
なれないかもしれません。
「強力なライバルだ。」
「自分の地位を脅かす存在だ」
と感じるからです。
よって、その社内では
従業員が2分極化するでしょう。
時間も効率よく使って
上手に成果が出て高給を喜ぶ社員と、
(多分、一部の社員に留まります)
逆に成果が出ずに減給されて
モチベーションが下がってしまう
社員の2つに分かれるでしょう。
(多数が給料据え置き、または
ダウンする構図が一般化すると
予想します。)
その結果、
裁量労働で会社を活性化させたい
経営トップの思いとは裏腹に
会社の雰囲気がドライで
暗くなってしまうかもしれません。
裁量労働にはこうしたリスクが
あると当塾では考えます。
【9.長時間労働が増える危険性】
デメリットはまだあります。
「長時間労働が増えるリスク」です。
成果を出すために効率よく、
短時間で目標を達成できれば、
その従業員にとって
裁量労働制は非常に
ありがたいものになりましょう。
定時まで縛られることなく
早く帰って自分の時間も
確保できるからです。
クリエイティブな仕事で
研究や開発に携わる人に
この制度は向いている
ように私には思えます。
しかしながら、
与えられている目標が高く、
かつ、業務量も非常に多い
サラリーマンの場合、
(特にお客様に接し、現場にも
出るような職種では)
人間ひとりがやれる仕事量や
スピードに限りがあるために
成果を出すにも限界があります。
また、自分一人で成果を出せる
仕事が少なく、多くの関係者の
協力で初めて成り立つ業務の場合、
自分の力だけでは
どうしようもない部分があり得ます。
そんな状態であっても、
何とか成果を出すために
(給料や処遇を減らされないために)
他人の分の業務も背負ってしまい、
やむなく長時間働く必要に
迫られる事態が十分あり得ます。
(私を含めこうしたサラリーマンは
日本中にいると思います。)
そうなると、裁量労働制は
その従業員の健康を害する
仕組みになる可能性があります。
そこで政府は
裁量労働制を導入する企業に
従業員の健康を害さないよう、
月間法外残業時間の上限と
規制を設定しました。
3つの柱のうちの1つ、
「残業時間の規制の強化」です。
【10.この規制では過労死は減らない】
今回の法案で
年間の法外残業時間の上限は
合計を720時間までとしました。
(ちなみに、高度プロフェッショナル
制度では休日を年間104日間はとれ、
と義務づけられますが、法外残業時間
720時間の規制は取っ払われます。)
これは月間60時間を
上限と想定していますが、
繁忙期であれば
月100時間までOKという
内容で決着しております。
また、月45時間超が6回まで
OKで、平均80時間以内なら
よろしいという内容です。
しかしながら、
この労働時間のキャップ設定には
過労死で一家の大黒柱を失った
家族らから反対意見がでています。
「これでは過労死が減らない」と。
正直、私もそう思います。
(上記は2018年6月30日付けの
朝日新聞の朝刊ですが、電通で過労自殺に
追い込まれた高橋まつりさんのお母様も
国会で傍聴していて、この法案に涙を
流して反対している姿を報道しました。
電通事件については、こちらをご参照下さい。)
https://miyanari-jun.jp/2016/12/17/dentsuu-incident/
裁量労働制の弱点に対する、
規制・対応としては
今回の「残業時間の規制の強化」
では不十分だと私は思います。
正直、私の経験から申して
法外残業時間が50時間を超え
60時間も月に残業すると
本当にへとへとです。
心も体もくたくたになります。
疲労が蓄積して
土日2日間休んだぐらいでは
回復できないくらい
疲れがたまります。
20才~30才代の若い時代に
私は月80~100時間もの
残業に耐えたこともありますが、
その実態は
毎晩23時ぐらいまで働き、
朝は7時には会社に行く
という毎日でした。
これは本当に倒れそうな状態でした。
(これを40才~50才代でやると
本当に命が尽きると思います。)
以上の経験からして、
この法案にある
月100時間を上限とする
残業時間規制では
「過労死はなくなりません」と、
私は申し上げたいですね。
そんな緩い規制を残業時間の
ボーダーラインにしたのは
雇う企業側・産業界からの
要望によってでしょう。
厳しい残業時間規制では、
(法外残業を厳しく月45時間
以内とした場合、)産業界全体で
収益減少になるリスクがあり、
しかも、2018年になって
人手不足が深刻化している
情勢からすると、
どうしても従業員に
残業してもらわないと
会社が成り立たないところが
多くなってきた事情から、
こんなにも緩い残業規制に
留まったものと私は推測します。
【11.「生かさず殺さず」の状態が続く】
残業時間の問題は、
今後二分極化していくでしょう。
働き方改革関連法案で
残業時間を規制をしても
多くの民間企業の現場で
要員手当がなされ
「労働環境改善」にすぐ
繋がることは少ないでしょう。
コスト増を伴う要員手当を
行う前に企業トップは必ず
以下の命令を出すはずです。
「より効率化しよう」
「働き方を見直そう」
「各職場や現場で話し合い、
無駄な業務をみつけよう。」
「無駄な業務を削減しろ」
「早く帰るようにしよう。」と。
そうした努力をしてもなお、
要員がどうしても足らない場合、
トップが
従業員に優しい会社であれば
要員を増やすか、または
業務の受注量を減らすでしょう。
こうなれば中高年サラリーマン
ならずともその会社の残業実態は
全体的によくなるでしょう。
しかしながら、
トップがそうでない場合は、
残業を強制的に無くす方向で
調整が図られましょう。
そうなると辛いドラマが
次にあなたを待っています。
要員を増やさずに
または業務受注量を減らさずに
残業実態を改善するには、
会社全体の要員配置の見直しをし、
金をかけて技術革新するか、
新システムを思い切って導入するなど
本来、企業トップが
大英断を下す必要があります。
そうしない限り、
各現場の仕事の量や、
顧客に対して提供すべき
サービス・品質を生み出すのに
必要な労働時間は
小手先で簡単に減らせない
というのが私の持論です。
よって、増員がないままに
または業務受注量を減らさずに
「残業をなくせ」と、強制的に
トップから指示がでたものの、
トップからの正しい処置や決断、
資金投入などが全くない場合は、
口先だけの改革に留まるでしょう。
結果、各現場にしわ寄せが
行くことになります。
こうなるとサラリーマンには受難です。
実質的な労働量は減っていないのに
(会社から「早く帰れ!」と言われ)
表向きの残業時間を減らすために
仕事を自宅にこっそり
持ち帰って頑張ることなども
(私も過去そうでしたが)
相変わらず続くことになるでしょう。
以上、色々述べて来ましたが
今後、中高年のサラリーマンを
待っている労働環境の将来像は
(1)従業員に優しく、
優秀なトップが英断を下す
会社に在籍している
サラリーマンは
労働時間が本当に減る
可能性があります。
(但し、このようなよい会社は
少数派に留まるでしょう。)
(2018年6月8日の朝日新聞の
朝刊には、社員の工夫・努力
で残業時間が月2.4時間減った
「アルプス電気」では、
残業手当が減った額の
3分の1に相当する額を
賞与として社員に還元すると
発表しました。このような
「従業員に優しい会社」が今後
どれくらい登場するか・・・)
(2)従業員に優しくない会社に
在籍している(多数の)
サラリーマンの労働時間は、
表向きは減っていくように
見えても実質的労働時間は
変わらない可能性があると
考えます。
その状態は、かつての
欧米列強の植民地でみられた
奴隷労働と同じで
「生かさず殺さず」という
状態になるでしょう。
という未来像を、私は描く次第です。
どう、思われましたでしょうか?
中高年サラリーマンのあなた、
勤務しているあなたの
会社のトップは
従業員に優しいですか?
それとも・・・
長年勤めていればもう
十分ご存じですよね。
そこにあなたの未来が
写し出されているはずです。
【11.働き方改革法案の3つ目の影響】
働き方改革関連法案が
サラリーマンに及ぼす
影響を色々と述べてきました。
一つ目は、
「同一労働、同一賃金」によって
多くの企業で
人事制度や給与体系の
抜本的な見直しが始まる
という予想。
二つ目は、
「事実上の裁量労働制」が
一気に広まるだろう、かつ、
今回の「残業時間規制」では
過労死は減らず、
労働時間の観点でみると
二分極化が始まるだろう、
という予想でした。
さて、三つ目の影響は、
先に述べた二つの予想と連動して
中高年サラリーマンなどの
「既存の正規労働者の
給料がカットされていく
可能性がある」という予想です。
バブル崩壊以降、各企業は
長引く不景気を乗り切り、
国際的な競争に勝ち、
かつ、収益を上げるために
人件費はできるだけ
抑えるよう努力してきました。
そのために、非正規労働者
を多く雇い入れてきました。
しかしながら、
今回の法案が通ると
給与体系を見直し、
中途採用者や
即戦力たる非正規労働者を
正規労働者と同一賃金で
雇い入れることで、
非正規労働者の人件費を上げると、
一方で誰かの人件費を
削ることを経営者は考えます。
理由は簡単です。
人件費の増加を避けたいからです。
あるいは、
人件費増に耐えられる資金や
体力がない理由もありえます。
あるいは、
人件費が増加することによって
株主から経営陣は利益が減ることを
非難され、解任されることを
経営陣は極度に恐れるからです。
そのための対策として
年収が若年労働者層より高い
特に中高年サラリーマン層の
正規労働者の
年収にしわ寄せがいく
可能性が高いと思います。
よって、
中高年サラリーマンの
正規労働者の方は
「給料は増えないどころか、
減らされる可能性が高い」
時代になったことを
認識すべきと思います。
いかかでしょうか?
自分の身をどう守るべきか
考え、準備する必要が
目前に迫ったと私は思います。
「現在は人手不足の情勢だから、
人件費を増やしてでも
従業員を確保しておこう」
「中高年の給与は減らさない」
「中高年の人材は切らずに、
定年も延長してなるべく
長く働いてもらう」と考えて、
温情的施策を実行する会社も
一部、存在すると思います。
しかしそれが出来る会社は、
まず、内部留保などの
資金や体力が十分にあり、
経営トップが従業員のことを
本当に思ってくれる
「優しい会社」である場合
に限られましょう。
先ほど、2018年6月1日に
最高裁が示した判断を紹介しました。
非正規社員にも、
「通勤手当」、「精勤手当」、
「作業手当(これは難度の高い
特殊業務をやった時、正規社員に
だけ払われていた割り増し手当)」
などを、企業が払うよう指示と
判断を示しましたね。
ちなみに
あなたの働く会社のトップは、
次のどちらのタイプでしょうか?
このニュースを見てすぐに
「人件費が増えて会社の収益が
圧迫されるが、従業員のために、
今の給与体系を今回の判断に
照らして早く改訂しよう」と
動いてくれるような
器の持ち主でしょうか?
それとも、「最高裁の判断は
そうかもしれんが、うちには
すぐに給与体系を変え人件費を
増やす余裕などありゃせん。」
と、だんまりを決めますか?
私は後者の企業の方が、
日本には多いような気がします。
仮に動いてくれたとしても、
人件費のファンド総額は変えずに
やり繰りする企業が
多数派のような気がするのです。
その意味では
中高年の給与に手を付けない
企業は少数派に留まるでしょう。
【12.政府が副業を認めた真の理由】
2016年12月26日の
日経新聞朝刊にかつて
「正社員の副業後押し」
「政府指針、容認に転換」
と一面に出ていました。
この記事を見て
「原則禁止していた副業を
認めるんだ。収入を増やす
チャンスだ、ラッキー」と
喜んだ方は読みが浅いです。
ここまで述べた
私の予想がもし当たると
各企業に裁量労働制が広がり、
年俸のアップダウンが激しい
世界が出現するでしょう。
その結果、
中高年の正規労働者の
サラリーマンの年収が
実質的には下がるでしょう。
政府もシュミレーションしています。
政府が進めている
働き方の改革の副作用で
年収が減る層が一定数出ることを
安倍総理も知っているのです。
そうした年収が減る層の
正規労働者のサラリーマンから
反乱を起こされないために、
今まで原則禁止としていた
副業や兼業を解禁して
年収を減る分を補填できる
ようにしたというのが、
報道の裏に隠された
政府の真意です。
ここを読み誤ってはなりません。
私は「副業を認める」とした
政府の方針を見た時
ここまで述べてきた予想に、
(2016年の年末時点で)
かなりの確信を持ったことを
記憶しております。
以上、長々と書きました。
まとめますと
働き方改革関連法案が通ると
まず、
全労働者の40%を占めている
非正規労働者には
賃金がアップしますので
その点では
福音になるかもしれません。
また、
クリエイティブな仕事で
開発や研究をしていくような
(高度プロフェッショナル制度の
イメージに合う職種の)
一部のサラリーマンには
「裁量労働制」により
時間に縛られず融通も効くことで
生産効率もあがるでしょう。
成果も出て給料があがる、という
メリットもあるでしょう。
しかしながら、
クリエイティブな仕事でもなく、
お客様や人に接して
現場にも出て交渉を行って
ノルマを達成するスタイルの
サラリーマンには、
特に、サービス産業に従事する
中高年の正規雇用の方にとって、
もはや会社は
あなたを守ってくれる場所では
なくなるだろう、
というのが当塾の見立てです。
政府も副業を認める以上、
「自分の身は自分で守ってね」
というシグナルを出しました。
中高年サラリーマンは
賃金が減らされるだけでなく、
5年~10年ぐらいの間に
外国人労働者やAIの進化によって
今の仕事が奪われるかもしれません。
あるいは、
会社トップが本腰を入れて
働き方の改革をしないために
社内の人手不足がひどくなり、
逆に労働時間が増えて
「生かさず殺さず」状態に
追い込まれるかもしれません。
ここに明るい未来を見いだすのは
至難の業のように私には思えます。
そうなっても
「何とか会社にしがみつこう。」
と必死に頑張るサラリーマン
であり続けようとしますか?
それとも
「頑張っても給料は増えないし、
もうたくさんだ。」と考えますか?
私は二極化が始まると予想します。
前者は
「会社に残ろうと必死にぶら下がる」
サラリーマン。
後者は
「いよいよ、会社組織から脱出しよう」と
本気で考えるサラリーマンです。
ここまで読んで
「やばいなあ」と思ったあなた、
自身の身を守り、かつ
本当に輝ける自分を取り戻し
「最大限の自分自身を生きる人」
になる準備をしましょう。
時間はもうそれほど
残されてはないと思って良いでしょう。
組織からの卒業準備を考えましょう。
いきなりの卒業は難しいでしょうから、
本業と副業の2足のわらじを
はきながら身を守りましょう。
私も今、準備を「着実に」進めています。
具体的にどうすればよいか?
については
当塾のブログを読んで頂けると
様々な切り口で答えが書いて
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